1型糖尿病を発症した当時(かつては中学生だったし、30年も前のこと)、自分の寿命について考えたことがあった。いったい、いつまで生きられるのだろうか、僕は。特に、時間が豊富にあった入院中に考えていたように思う。

最初は40歳ぐらいまでだろう、と中学生の僕は勝手に決めつけた。しかし、今、すでに僕は40歳を過ぎて、まだ生きている。合併症も多少は進んでいるものがあるけれど、死ぬ実感など今はまるでない中年のオヤジだ。

いったい、いつまで生きられるだろうか。中学生のときに考えた質問を今の僕に聞いてみる。正直わからない。70歳ぐらいまで生きられそうでもあるし、数年で死んでしまうかもしれない、というのが今の僕の回答。

今の糖尿病の医療は、30年前に比べて格段に進歩したと思う。インスリンの質も向上しているし、医療機器(たとえば血糖測定器やインスリンポンプ)も進化し続けている。やる気になれば、普通に天寿を全うできるようになった時代、ではないかと感じる。

しかしながら、糖尿病は、自己管理が大切、と言われている病いである。僕にとって、自己を一定に管理するということは想像以上に難しい。自己管理という仕事を毎日、毎日していれば、そりゃ、さぼりたくなる気持ちはときどき起こる。

話しを戻す。1型糖尿病を抱えて、治療を放棄されてしまう方も少なくない、ということを聞いたことがある。治療を放棄すれば、間違いなく天寿を全うできる可能性は低くなる。けれど、なんとなく治療を放棄してしまう気持ちもわからないでもない。インスリンを打ちたくない、という気持ちもなんとなくわかる。たぶん。

僕は、同じようなことを歯みがきでやった。歯みがきは僕にとって、とても面倒だったし、歯みがきする時間があれば何か他のことをやっていたい、というのが僕の気持ちだった。おまけにタバコも吸うヘビースモーカーなので、磨くべき歯はもうほとんど消えてなくなってしまった。いまや、数本の残っている歯を、大切に、大切に、磨いているのである(笑)

1型糖尿病の学術文献を調べれば、きっと1型糖尿病の平均寿命みたいなものが記載されているかもしれない。けれど、それを見たところで、あくまでも平均の寿命であって、僕の寿命ではないはずだ、と僕は思う。

寿命をまっとうするまでに、きっと気づかなければいけない、他の何かがたくさんあるように僕は思う。まだ僕が気づいていない何かを、僕は手に入れたいと思う限りである。歯が抜け落ちる前に(笑)

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