レギュラーインスリンと呼ばれる「速効型インスリン」。そのインスリンは、6量体から2量体になるまでに時間がかかった。そのため、インスリンは改良され、もっと早い時間で6量体から2量体、単量体になるインスリンが開発され、インスリンの作用発現時間が短縮された(要するに効き目が早く、食事(炭水化物)を食べたときの血糖上昇をより抑えることが可能になった)。

超速効型インスリンは開発されて、発売された。現在では、ほぼ全ての1型糖尿病患者さんが、この超速効型インスリン製剤を活用していることと思う。多少の例外はあったとしても…。

そして、

「インスリンを打てば、血糖値は下がる。」

これは周知の事実である。また血糖値を下げるホルモンは、インスリンしかないのもまた周知の事実。そのため、1型糖尿病という病いを患らえば、膵臓からインスリンというホルモンが出なくなってしまうために、インスリンの注射が必要不可欠なものとなる。

では、なぜ血糖値は上がるのか?

この質問には、数多くの理由があるように思う。

たとえば、食事。

炭水化物を食べれば血糖値は上がる。正解。

だけど、血糖値が上がる理由はそれだけではない。

たとえば、シックディ。

シックディ(いわゆる風邪)のときにも、血糖値は勝手に上がる。正解。

ほかにもある。

たとえば、食事の回数。

1日3食のときの食後血糖値に比べて、1日1食のときの食後血糖値は半端じゃなく跳ね上がる。

まだある。

たとえば、注射部位。

インスリンを打つ場所(ふとももや、お腹など)によっても、血糖値の上がり方は違う。

そのほかにもある。

たとえば、反動。

血糖値が下がり過ぎてしまった(いわゆる低血糖)の反動でも、血糖値は上がる。

まだまだある….

そう、「インスリンを打てば、血糖値は下がる」という単純な事実とは裏腹に、「血糖値が上がる理由」はたくさんある、と僕は考える。だから、1型糖尿病の場合、血糖値が上がる理由を一義的に解釈するならば、他にも存在する様々な理由を見逃し、落とし穴にはまってしまうのではないだろうか。

インスリンを打っても打っても血糖値が下がらない時

1型糖尿病を長く患っていると、インスリンを打っても打っても下がらない時に遭遇する。そういうときは、前述した状態になっていないか、僕はまず考える。

「インスリンを打てば、血糖値は下がる。」

と言えども、インスリンの量を多く打ち過ぎれば、血糖値は低く(低血糖に)なりすぎてしまう。そうすると、前述のように、その反動で血糖値が上がってしまう。また重症な低血糖を起こした場合だと、そのあと、2〜3日、インスリンを打てども、血糖値がまったく下がらなくなることもあるから、注意が必要だ。

やむ無しの高血糖の場合

昔までは、高い血糖値を下げることばかり(要するにインスリンを打つこと)に囚われがちだった僕だけど、最近は、低血糖をなくすことに力を注ぎ、インスリン拮抗ホルモン(血糖値を上げるホルモン)の分泌をいかに抑えるか。これが大切ではないか、とも感じている。

だから、原因がわからない、やむ無しの高血糖の場合、前述の対策はとるものの、それでもだめなら、焦らず1,2日待ってみることにしている。正直なところ、心の中は、かなり焦るけれども…

インスリンポンプを使用している場合で、前述のような高血糖が長く続くようなら、僕は、一度、シリンジとクイックセットを新しいものに交換し、違う部位に打ち直す。そうすると、血糖値が下がる場合が多い(笑)。ポンプユーザーの人から見れば、当たり前の事実かもしれないけれど…

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