1型糖尿病の血液が、手や足の末梢血管から、脳の血管まで、とどまる事なく、30年近く流れ続けている41歳の1型野郎。そして、血液に限らず、性格までもが、1GATAの影響を受けてきたインスリン野郎である。

少し空想の世界へ今日はあなたをいざなう。

神が降臨

たとえばだ。もし、神さまが、どこからともなく、僕の目の前に降臨したとする。そして、突然、神様は僕に向かって、まじめな顔をしてこんなことを言った。

「ワシは、ips細胞とか豚の細胞をいとも簡単に使うことができる全知全能の神である」

はあ、と僕は答える。

「まだ、わからんのか。おぬしの1GATAを瞬時に治せる、有難い神なのである」

はあ、と僕はあらためて言う。

「おぬしは自分の病いを治したいと願うのか、そうでないのか」

神は僕に向かって大声で怒鳴った。そして僕は、答える。

そんなこと、突然言われても困るよ。

「なぜじゃ」

だって、すぐに僕の1GATAが治せるんだったら、僕の1型は10年後ぐらいに治してくれてもいいかな、と思ったりするんだ。なんて言うか、30年近く1型糖尿病を抱えて、ここまでサバイブして生きてきたのだから、もう少し一緒に生きてやってもいいかな・・と。

ときどき、僕はこんな風に考えたりする。不思議である。1型歴1年目で、こういう神様が降臨したならば、跪いて、祈って、お願いします、治してください、と120%、絶対以上、手を握って、目をつぶり、僕は答えただろう。

確かに、この病いを持って、いろいろな嫌な目には会ってきた。差別的な発言も受けたし、低血糖で昏睡にもなったし、食事のカロリーは気にしなきゃいけないし、血糖測定器のバッテリーマークを見るのも嫌だし、インスリンの針を変えるのも面倒だし、今は不眠もあるし。

面倒臭いことは星の数以上にある。

ただ、万物には、かならず「表と裏がある」というのが僕の信条。ようするに、いつも1型糖尿病の裏側ばかりを見ているのは僕の性格だから、たまには表を見てみよう、と考えたりするのだ。

悪い意味ではないけれど

僕の脳みそは完全に1型糖尿病の脳みそになっているわけだし、血液も1型糖尿病なのである。性格も1型糖尿病であるし、皮膚も1型糖尿病なのである。そう、僕の全ては1型糖尿病で完全武装されているのである。

だから、すぐに治るよ、などと神様に簡単に言われても、だ。

驚きとともに戸惑う自分がいるだろう、と僕は思う。

神様、とりあえず、僕のことは後回しで結構なので、希望している方々を先にお願いします。

だって、インスリンを自分で打てないご老人だって沢山いるわけだし、そういう子供たちがいるのも知っているからである。だから、カッコつけたことを僕は神様に向かって言うかもしれない。あんなに苦しめられた1GATAなのに・・と時々、不思議な自分がいることに僕は気づくのだ。僕だけなのだろうか・・こういう気持ちになるのは・・

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